装丁 『英語対訳で学ぶ日本』

2018.03.05 Monday

先月出た新刊です。装丁デザインを担当しました。

 

 

 

 

2020年東京五輪に向けて、ますます必要となってくるであろう外国人とのコミュニケーション力。

そのときあなたは英語で我が国の歴史や文化を説明することができるか_。

そもそも日本の歴史を説明できるほど理解しているか_。

という課題。

「英語圏の人に、日本の歴史や文化などを紹介・説明する」

ための教科書としてつくられたのがこの本。

 

 

 

 

見開き単位で構成された本文は、左頁に日本について書かれた日本文、右頁に英訳文を掲載。

日本文は、本書発行元である育鵬社の教科書に準拠。

_ということで、

その教科書にふんだんに盛り込まれているイラストカットを装画にも流用させていただいてます。

 

装画は瀬川尚志さん。

歴史の教科書でよく紹介される有名な肖像画の印象が忠実にイラスト化されています。

贅沢にもたくさんの絵を使わせていただいてこの装丁ができました。

 

たくさんのイメージが重なって「歴史イメージ」となるので、

カット数が少ないと雰囲気が出ないんですよね。

 

ふつう装画のためだけに発注してここまでたくさん描いていただくのは、

時間的・ギャラ的になかなか難しいことなので、

この本だからできた装丁と云えます。

 

 

 

 

オビに見える部分は、カバーにそれっぽくデザインされた印刷されたオビで、

いわゆる「刷り込みオビ」です。

実際はオビはついておらず、カバーのみ。

用紙が分かれてないのはコストを抑えるためであることも多いですが、

この本の場合は「デザイン上その方が良いから」が主因。

オビが分かれているとすると、右下の「聖徳太子」の顔が切れてしまいますから。

 

刷り込みオビの利点は、このようにオビ部とカバー部の境界線がなくなることや、

オビ部がとれない(オビ下に隠れたカバー下部デザインが消える)ということがあります。

実質カバーのみ印刷してるわけですから、

オビ部のデザインをカラー(CMYK4色刷り)で出来るということも大きいですね。

オビはコスト的に色数を制限されるのが通例ですから。

 

 

 

 

カバー表4(バーコード側)にも絵を複数カット入れてます。

これも刷り込みオビでないとなかなかやらないデザインです。

 

 

 

表紙(カバーをとった本体)はシンプルに。

カバーがにぎやかだったので、こちらは渋めにしてみました。

 

 

 

 

こういう実用的教科書的な本だと、見返しの用紙をコストカットで削られたり、

安い紙限定指定だったりすることもありますが、

どうしてもこの赤が濃いエンジ色の色紙にしたかったので、

オビなしの替わりに_とお願いして許可していただきました。

(濃い色は薄い色より大体高い)

 

 

 

 

私のデザイン担当はここまでなので、本文画像なくてすみませんが、

興味のある方は店頭で。

 

あ、そうだ_ちなみに本書の英訳、

専門用語や難しい単語には、別枠で発音をカタカナ表記してあり、

発音アクセントもわかるようになっています。親切です。

 

 

 

2018年2月初版|育鵬社 刊(四六判並製)|装丁:村橋雅之|装画:瀬川尚志